昨年後半から原料高、人件費高騰などによる価格改定を各企業が相次いで表明していますが、Web制作分野においてもその影響が始まりました。独自ドメイン提供サービスの「お名前.com」が、2023年2月から「サービス維持調整費」として、従来の料金に10〜20%を上乗せすることを公表しました。
同社ではこの理由を次のように延べています。
昨今の急激な国内電気料金高騰、為替円安進行、世界的な半導体不足などの状況下におきましても、ご提供価格維持のためコスト削減に取り組んでまいりましたが、この度自助努力だけではコスト増を吸収できない状況となりました。
電気料金はサーバ維持に必要なものですので価格を反映させるのは納得できますが、円安と半導体不足が独自ドメイン運営に直接的にどのような影響を与えているのかは不明です。若干、便乗値上げ的な要素も含まれていますが、お名前.comを利用するユーザは結構多いので、Web制作業界には多少なりとも影響が出てくるでしょう。
サービス維持調整費が適用されるサービスは次の通りです。
- ドメイン新規登録
- ドメイン契約更新
- ドメイン移管
- お名前.comレンタルサーバ
サービス維持調整費が適用される時期は次の通りです。
- 原則、2023年2月1日以降の契約及び更新に適用
- ただし、ドメインの自動更新においては2023年2月16日から適用
Web制作会社など顧客のドメイン管理を受託している場合は、2023年2月以降にドメイン維持管理費が値上がりする旨を顧客に伝える必要があります。少額だとは思いますが、予算取りの前なので早めに伝える方がよいでしょう。
サービス維持調整費の変動履歴
過去の変動履歴を一覧にしてみました。
2月1日~2月28日 | 18.25% |
---|---|
3月1日~4月2日 | 18.0% |
4月3日~4月30日 | 18.75% |
5月1日~5月31日 | 18.5% |
6月1日~7月2日 | 19.5% |
7月3日~7月31日 | 20.0% |
8月1日~8月31日 | 20.5% |
9月1日~10月1日 | 21.0% |
10月2日~10月31日 | 22.0% |
11月1日~11月30日 | 22.5% |
12月1日~ | 22.75% |
2023年2月から始まった調整費は12月までに4.5%も上昇しています。グラフにするとこんな感じです。
2023年の消費者物価指数(対前年比)は大体3%台で推移していますので、お名前.comのサービス維持調整費という名の値上はかなり高いと感じるはずです。2024年以降は為替が本格的に円高に動き出しますので、それに伴いこの調整費も下がるでしょう。もし下がらなければ、ただのボッタクリです。
お名前.com以外の選択肢
といっても、簡単にこんな調整費という名の値上げを実施してしまう会社です。今回の調整費に味をしめて、今後いつ復活するか分かりません。そこで、今後新規にドメインを取得する場合は、お名前.com以外の選択肢を持つ必要があります。
ここで注意したいのはGMOグループのサービスを避けることです。GMOグループには主に次の3つのドメインサービスがあります。
- お名前.com
- ムームードメイン
- バリュードメイン
これらの中で乗り換えても意味はありません。乗り換えるのであれば、さくらインターネット等GMOグループ以外のサービスを選びましょう。
レンタルサーバーのConoHa WINGはGMOサービスではありますが、調整費が10%で固定されています。もし、ConoHa WINGを契約している場合は、このサービス内でドメインを取得した方がお得です。
Qoonestではドメイン移管の手続きも代行しておりますので、お困りのことがありましたがお気軽にご相談ください。ドメイン移管は面倒で、失敗すると一時的にサイトが閲覧できなくなります。要注意。
(参考)お名前.com