金融ITのプロフェッショナルへ。大和証券の新卒総合職エキスパート・コースとは

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大和証券は2021年4月から転職市場の価値に応じた報酬を支払う仕組みを導入します。対象となるのはデリバティブなどのトレーダーや数学など高度な知識を必要とする業務です。このような業務を担える人材は採用市場においても高い価値を有している一方で、その獲得競争が激化しています。当然、転職者は高い報酬を望みます。今回の大和証券の動きはそれに対応したものです。この仕組みを導入することで、例えばトレーダーであれば年俸5,000万円も実現可能になるということです。

では、大和証券に新卒で入社する場合はこの仕組みの対象外になるのでしょうか。実は2022年卒向けから新しいコースが導入されます。それが「総合職エキスパートコース」です。従来の総合職とは採用条件と報酬が異なります。詳細は大和証券の採用サイトをご覧いただくとして、ここでは簡単にご紹介します。

大和証券の新卒総合職エキスパート・コースの概要

応募資格

  • 2022年3月までに大学院を修了(見込)の方(原則、博士課程後期修了の方
  • 修了後3年以内の方

主な仕事内容

  • (デジタルIT)データサイエンティスト、デジタルエンジニアなど、デジタル技術でビジネスを変革する業務 例)データ駆動型ビジネスの実現に向けた・データレイクの構築やアナリティクス基盤の構築
  • (高度金融)クオンツ・デリバティブ業務など、高度な金融知識を必要とする業務 例)最先端の金融工学を駆使した、複雑な商品の価格やリスクを、精緻かつ安定的に算出可能な計算モデルの開発

勤務地

  • 東京本社または海外拠点

初任給

  • 月給40万円〜

いかがでしょうか。求める能力が高度の割には月給が安いなと感じますが、おそらくボーナス等の報酬体系が他とは異なるのでしょう。仕事内容の文章を読んで、何のことなのかさっぱり分からない、という学生は対象外です。つまり、この仕事内容を理解するには博士課程レベルの教養が必要になるということです。また勤務地が本社と海外に限定されているのも面白いですよね。証券会社って支店勤務で教育されるイメージが強いのですが。

ITや数学と聞くとIT業界の需要が多いと思われがちですが、今後はIT業界以外の方が彼らのような高度専門人材を高く評価し、それに見合った高い報酬を獲得することができるでしょう。これから就職活動を進める新卒学生の皆さんはそのようなことを意識しながら企業選びをしてほしいと思います。

[sanko href=”https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69595060S1A300C2EE9000/” title=”大和、転職市場に応じ年収変動” site=”日本経済新聞”]

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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