ペットブームはすでにピークアウト。ペット関連業界の株保有、就職は要チェック

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街にはペットショップが増え、SNSでも犬や猫に関連する投稿が増えています。私も猫が好きで、猫関連の投稿は見る機会が増えています。このような状況を見るとペット業界は成長していると思われがちですが、統計を見るとそれが間違いであることが分かります。

厚生労働省の衛生行政報告例の犬の登録頭数を見ると、2009年度の688万頭をピークとして、2021年度には610万頭まで減少しています。犬は減っているけど、猫は増えているのでは。残念ながら猫に関しては行政への登録義務がないため、行政では頭数が把握できません。

そこで利用されるのが一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」です。この調査によると、2021年の895万頭をピークに、2022年は884万頭に減少しています。全体的には減少傾向にあるのですが、ここ最近の傾向として「新たに」ペットを飼い始める人が増えているようです。要は新しく飼い始める人よりも、今まで飼っていた人が飼わなくなった数が多いということです。

高齢化社会においては特に傾向が強くなると考えられます。住宅事情等もあり、若い世代よりも高齢者の方がペットを飼いやすい環境が整っていると考えられます。また、老後の寂しさを補うためにペットを飼う高齢者も多いでしょう。その高齢者が亡くなれば、当然ペットを飼うことができなくなります。

もうひとつの傾向として、動物病院の推移があります。経済産業省の第3次産業活動指数によると、2020年度までは動物病院の数は増加傾向でしたが、2021年には大きく下落しました。その後、2022年度には若干増加しているものの、すでにピークアウトしている状態だと考えられます。

今後、ペット業界が成長するためには何が必要なのでしょうか。最も大切なことは若い世代がペットを飼いやすい環境を生み出すことでしょう。例えば住環境では、ペットが飼える賃貸物件を増やすことが必要でしょう。また、ペット関連商品の物価を下げることも必要でしょう。

最近はペット関連商品だけでなく、食品含め全体的に物価が上昇しており、ペットよりも自身の生活を優先する若い世代が増えているのではないでしょうか。このような状況下で、安易にペット関連商品の価格を上げれば、さらにペットを飼いにくくなります。

行政的は国内のペット業界の今後の成長には悲観的です。ペットブームは既にピークアウトとしたと見られています。自動車と同じように、ペットも今後は国内の絶対数は減少していくと思われます。したがって、自動車と同じように国内市場ではなく、海外市場での活躍が今後の成長の鍵になるのではないでしょうか。

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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