発酵王国・福井が生み出す、注目の発酵食品

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今、発酵食品が注目されています。発酵食品は旨味や滋養が注目されている伝統食で、世界の中でも特に日本は温暖で多湿な気候、海水からとれる塩、豊富な食材に恵まれ、世界各国の中でも多様な発酵食品が作られる国です。今回はその中でも数多くの発酵食品を生み出した福井県をクローズアップしてみましょう。

 ① 塩雲丹(福井市・越前海岸)

越前の雲丹は江戸時代より三代珍味のひとつと言われています(残りはカラスミとコノワタ)。塩雲丹はバフンウニの卵巣を塩蔵法により熟成させた保存食で、鼻の中に広がる磯の香りと、ねっとりとした濃厚な味わいが白米や日本酒の肴として好まれています。

 ② へしこ(若狭地区、河野地区)

へしこは魚の内蔵を取り出して塩漬けし、さらに糠漬けすることで腐らせずに長期保存できます。塩味と旨味が強く、燻製にも似た味わいです。糠を落として適当な大きさに切り、軽く火で炙ったものをお茶漬けや酒の肴に、また最近ではパスタに使われることも多くなっています。

 ③ にしんすし(嶺南地方)

福井県には「北前船」の寄港地があったため、他の地方から多様な食文化が持ち込まれました。その中でも特に注目されたのが、北からもたらされた「昆布」と「ニシン」です。そのニシンで作った保存食が「にしんすし」です。お祭りやおせち料理として出されることが多いようです。

 ④ たくあんの煮たの(福井県全域)

秋から年末にかけて漬けられた「たくあん」は、翌年の夏頃には古漬けとなり、酸味が出てきます。それを塩抜きして、出汁や醤油、唐辛子などで味付けしたものを「たくさんの煮たの」と呼びます。福井県全域で食べられるポピュラーな発酵食品で、酒の肴としても楽しまれています。

 ⑤ はまなみそ(嶺北地方)

冬限定の郷土料理です。「はまなみそ」の「はまな」とは浜松が由来で、江戸時代に徳川家康が「浜納豆」を好み、その二男が関ヶ原合戦の後に福井藩主になった際、浜松の食文化を越前に持ち込み、福井の風土に合わせて変化した料理と言われています。

 (参考)農林水産省「うちの郷土料理」

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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