中小企業は「テレワーク助成(人材確保等支援助成金)」を有効活用してテレワーク環境を整備

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新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動自粛が緩和され、今年は各地で例年通りのお花見が繰り広げられています。コロナ禍では人々の行動が制限され、お花見のような季節特有の行動を見ることができませんでした。コロナ前は特に意識していませんでしたが、こういった季節ごとのイベントって大切だなって感じます。

さて、行動自粛は緩和されつつありますが、企業活動においてはコロナ前に戻るのではなく、コロナ禍で普及した在宅勤務をそのまま継続している企業がたくさんあります。実に大企業の約8割が在宅勤務制度を導入し、現在でも運用されています。しかし、中小企業に関しては未だ約5割が在宅勤務制度を導入していません。国内企業の約9割が中小企業なのに、その5割が在宅勤務を行っていません。

もちろん、飲食など在宅勤務の導入が難しい中小・零細企業が多いのも事実ですが、導入できるのに導入していない企業が多いのも事実です。大きな要因は経営者の意識の低さなのですが、それは資金的な余裕の無さが生み出しているとも言えます。そんな中小企業の在宅勤務制度導入を資金面で支援するのが厚労省の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」です。

 支給対象の範囲

詳細は厚労省の対象ページをご覧ください。ここではざっくりとした内容をご紹介します。この支援金は次の費用が対象となります。

  1. 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  2. 外部専門家によるコンサルティング
  3. テレワーク用通信機器等の導入・運用
  4. 労務管理担当者に対する研修
  5. 労働者に対する研修

従来は就業規則の作成・変更、専門家によるコンサルティング、通信機器の導入・運用などの経費を対象としていましたが、直近ではテレワークサービス利用料が追加されました。具体的には次のようなサービスです。

  • リモートアクセス及びリモートデスクトップサービス
  • 仮想デスクトップサービス
  • クラウドPBXサービス
  • ウェブ会議などのコミュニケーションサービス
  • ウイルス対策等セキュリティサービス

これらのサービスを導入する場合、初期費用で5万円、利用料35万円まで支給されます。中小企業であれば、この範囲内で十分にサービス導入が実現できるでしょう。また従来のような抽象的なコンサルティング導入に比べ、具体性が増しているので導入しやすくなったのではないでしょうか。

この支援金で大切なことは、本格的に導入する前の試験導入においても支援の対象になるということです。つまり、試験的に導入して結果的に導入を見送ったとしても支援金は支払われます。これであれば気軽に試すことができますよね。

 2022年4月1日の改正内容

この助成金は何度か改正されていますが、直近(2022年4月1日)には次のような改正がありました。

助成金の利用の要件として、事業主に対し、全労働者に向けて「企業トップからのメッセージ発信・社内呼びかけ」や「事例収集及び社内周知」が必要となりました。

前述したように経営者の意識の低さが導入のボトルネックになっているケースが多いため、このように経営者自身が積極的に導入に関わっていることをPRする必要が生まれたのでしょう。当然、経営者が従業員に対して具体的にどのようなメッセージを発信したのか、ウェブサイト等で公表する必要があります。

在宅勤務制度など労働環境の整備において、大企業と中小企業の差が大きくなっています。当然、優秀な人材ほど大企業に集まりやすくなり、中小企業はますます人材採用難に陥るでしょう。ただし、こんなことは既に分かりきっていることで、分かりきっているのに在宅勤務を導入していない中小企業に問題があると言っても過言ではないでしょう。それなのに人材が確保できないと嘆くのは誤りです。まずは最低限やるべきことをやることが必要だと感じます。

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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