初年度の年収710万円!GMOインターネットが23年度から始めた「給与No.1プロジェクト」とは

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以前、このブログでも年収1,000万円新卒採用を行っている企業を紹介しましたが、今回は初年度から710万円の年収が得られる企業を紹介します。それがGMOインターネットグループです。同社は2023年度の新卒採用からエンジニアや統計の専門人材、経営者候補などに絞る方針を固め、初年度の年収を710万円に設定しました。このプロジェクトを同社では「給与No.1プロジェクト」と呼びます。

 給与No.1プロジェクトとは

簡単に言ってしまえば、新卒採用を受ける学生の上澄みだけを募集する方法です。一般的な学生は入社してから研修や現場を経て、経験を積み上げていきます。しかし、同社のプロジェクト対象者は入社時点から専門知識が求められます。当然、このような採用を行えば入社人数は減ります。それでもこのような人材を求めるのは、それほど企業に専門人材が不足しているからでしょう。また、優秀な人材を新卒の時点で確保するという狙いもあります。

それでは23年度のGMOインターネットの求める人材像を見てみましょう(同社新卒サイトより引用)。

GMOインターネットの求める人材像

  • 高度な専門技術、知識、能力を持ち、実務に反映できるSTEAM人財
  • 100年単位で続く企業グループの成長を推進し、グループ経営の将来を担う人財
  • GMOインターネットグループが持つ「GMOイズム」を深く理解し、実践できる人財

STEAMが分からない人はご自身で調べてください。今、人材市場でこの言葉を知らない人はいないでしょう。この人材像で分かることは、「教養」と「イノベーション」を求めていることです。そして、新卒であっても受け身ではなく、経営視点で物事を捉えられることが求められています。これは部活やサークルの部長をやったとか、そういうレベルの話ではなく、よりビジネスの現場に則した視点が必要だと分かります。

では具体的に職種ごとに求められるスキルを見てみましょう。

入社時に求められるスキル

エンジニア職 データ分析能力、論文投稿や研究会発表の実績 等
研究開発職 博士後期もしくは博士号取得者、著名な学会における論文採択の実績 等
クリエイティブ職 コンテストでの入賞経験、様々な芸術分野に関する知見 等
ビジネス職 起業経験、ビジネスコンテスト入賞、金融工学の知識、弁護士・公認会計士等の有資格者

明らかに他の新卒採用とは次元が違います。例えばエンジニア職であれば、一般的なSIer等はプログラミングスキルやサーバ等の知識を求めますが、GMOの場合は数学や統計などの基礎学問の研究や、それを世の中に発表する力が求められます。募集要項には記載していませんが、明らかに工学系の大学院生をターゲットにしていることが分かります。

今後、国内の学生人口は確実に減少します。その中で優秀な人材をどのように確保していくのか、各企業では中長期の人材採用戦略が求められています。おそらく、このような採用手法は他の企業にも及び、新卒採用であっても給与格差が生まれるでしょう。

地域No.1採用とは

GMOインターネットは給与No.1以外に「地域No.1採用」というプロジェクトがあります。これはGMOの拠点がある北九州と宮崎の地域限定職の募集です。ここでも新卒給与は390万円(新卒の平均は250万円)が設定されていて、能力によっては最大710万円の年収を得ることも可能です。

今後も同社のようにインパクトのある採用手法を打ち出す企業が増えてくるでしょう。そのような中で知名度の低い中小企業はどのように人材を確保するのか。ますます経営者の資質が問われるのではないでしょうか。

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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