悪質業者への排水管の修理依頼によって、過剰請求が多発。

政治・社会

日常生活を送っていれば、必ず排水管に関するトラブルに合います。お風呂の排水溝に髪が詰まって排水できなくなったり、キッチンの排水口に汚れが溜まって排水できなくなったり。これらは放っておけば直るものではなく、必ず修理しなければいけません。そんな時に頼りになるのがGoogleなど検索サイトです。

「排水管」「修理」と入力して検索すれば、身近な修理業者の一覧が出てきます(GoogleはGPSを利用して、検索した人の身近な情報を掲載するようになっています)。しかし、ここで注意してほしいのは検索結果上位に表示されている情報です。

これらの多くは「広告」です。そして、この広告の多くが「格安」とか「見積無料」とか「最安値」という言葉を使っています。当然、依頼する時は安いほうがよいのでこのような言葉に騙される消費者が出てきます。そして、金銭的なトラブルが発生するのです。

 一度家に入れたら業者の言いなり

このような悪質業者の手口はとてもシンプルです。修理を依頼した人の自宅に訪れる前までは、いかにも安心安全、そして格安に対応する業者を装っています。しかし、自宅に訪れるとその態度が豹変します。専門的な知識が必要な排管修理なので消費者がそのやり方に口を出すことはできません。その心理を突いて、「現場判断」という名のもとに、その場で追加請求を行うのです。

実際に現場に来てみて分かったことがある。予想していたよりも汚れが酷くて、手持ちの機械では対応できない。だから最新の機械を使うことにした、など。本来、このような修理は「結果」に対して費用を支払うため、業者がどんな機械を使うかなんて関係ないのですが、現場でこのように言われると素人は反論しにくくなります。

そして請求の段階になって、当初10万円だった見積額が30万円以上の請求額に増えた、なんてことになるのです。現場判断で費用を決めるのであれば最初に見積する意味はないと思うのですが、こういった悪質業者は見積と現場という差を上手く利用して消費者からお金を騙し取ります

クーリングオフできるのか?

訪問販売による取引は、契約書面の受け取りから8日間以内は原則、無条件で契約解除(クーリングオフ)できます。しかし、消費者側から業者の訪問を求めた場合は認められないケースもありました。排水業者の場合は消費者側から訪問を求めたことになるためクーリングオフの適用は微妙でした。

しかし、2021年8月に消費者庁は次のような判断を示しました。

  • 見積もりのため訪問を要請した事業者とその場で契約
  • 広告などで安価な価格のみを示し、実際は正当な理由がないのに高額な料金を請求

このようなケースに該当した場合、クーリングオフ規定が適用されるとの判断を示しました。だからといって、消費者が自分で業者に対してクーリングオフの申し出をするのは勇気がいることです。また、一度支払った費用を取り戻すには裁判が必要で、その費用も手間も馬鹿になりません。

 属する自治体に業者を紹介してもらおう

このようなトラブルに合わないためには最初の業者選びが大切です。安易にネット検索して表示された業者を選んではいけません。では、どのような方法で業者を選べばよいのでしょうか。最も安心な方法は自治体の指定業者を使うことです。

例えば私は京都市に住んでいるため、京都市が指定する業者を利用します。京都市のホームページに訪れて、検索窓で「排水溝」や「排水 業者」と検索すれば該当するページが表示されます。もしくは「水道局」のページを見てみましょう。

そこで「事業者リスト」が閲覧できるようになっています。ここに掲載されている業者は京都市が指定しているため、もし何かトラブルがあれば京都市に文句を言うことができます。そして、京都市からその業者に対して制裁を課すことになります。これであれば消費者と業者が直接やり取りするのではなく、間に行政が入っているので安心ですよね。

もしくは賃貸であれば、管理業者に相談するのもアリです。管理業者はこのような修理業者との付き合いがあるので、悪徳業者を紹介することはないと思います。とにかく大切なのは業者と直接やりとりしないこと。間に行政や管理業者を入れることがトラブルの抑止力になります。

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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