個人住民税の増加率が高い自治体ランキング。1位は沖縄のあの自治体。

政治・社会

個人住民税とは住んでいる市町村に納められる税金です。僕の場合は京都市に住んでいるため、個人住民税は京都市に納めています。この個人住民税は住民一人ひとりの所得によって決まります。つまり、所得の高い住民が増えるほど自治体の財源も潤うことになります。総務省の市町村税課税状況調べと人口推計を元に、日本経済新聞社が2009年と2019年の全国自治体の個人住民税収を比較したところ、全国平均(13%)を大幅に上回っている自治体がありました。なぜ個人住民税収が増えたのでしょうか。今回は個人住民税の増加率が高い自治体とその原因をご紹介します。

個人住民税の増加率が高い自治体ランキング

1位 沖縄県与那国町(152%) 自衛隊駐屯地を誘致
2位 北海道猿払村(99%) ホタテ漁の収入増
3位 福島県葛尾村(94%) 原発事故が原因で住民の出稼ぎ増
4位 沖縄県中城村(93%) 区画整理で新規転入者増
5位 長野県軽井沢町(89%) 特定個人の譲渡所得増
6位 長野県川上村(73%) レタス・白菜生産の収入増
7位 北海道ニセコ町(72%) 地下上昇で不動産譲渡所得が増加
8位 沖縄県八重瀬町(72%) 区画整理で新規転入者増
9位 沖縄県与那原町(68%) 宅地造成で新規転入者増
10位 北海道枝幸町(66%) ホタテ漁の収入増

このランキングで目立つのは沖縄県の自治体です。特徴は元々住んでいた住民よりも所得の多い公務員や大企業の社員が新規に転入してきた点です。海が見え、主な勤務先となる那覇市にも車で30分圏内の条件が重なり転入者が増えているようです。北海道のように既存産業の成長により以前から住んでいた住民の所得が増加した点とは異なり、沖縄は新たに転入してきた住民の所得が高いという違いが面白いですね。大別すると、地方の自治体がこれから個人税収を増やすには①元々の住民の所得を増やす、もしくは②所得の高い住民を新たに受け入れる、という2つの施策が必要だということでしょう。

今、僕が住む京都市は財政破綻寸前という状態です。京都市と言えば大手有名企業の本社が多数あり、所得が多い従業員がたくさん働いています。しかし、彼らの多くは京都市内ではなく住環境の整った滋賀や大阪、奈良から通っている人が多く、京都市に個人住民税収が入っているわけではありません。今、京都に不動産を持っているのは一部の富裕層で彼らの多くは京都市民ではないため京都市に住民税を納めません。またコロナの影響で地元の観光業も落ち込んでいるため、住民税収を増やす手段を絶たれている状況です。つまり、住民の所得を増やすこともできず、外から転入者を入れることもできていないのです。今後、京都市がどのような行政を行っていくのか個人住民税という視点でウォッチするのも面白いと思います。

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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