仮想空間に現実世界を再現する「デジタルツイン」とは

テクノロジー

最近、大手ディベロッパーや百貨店を中心に仮想空間に現実世界を再現する「デジタルツイン」技術を活用する動きが増えています。デジタルツインとは「デジタル空間上の双子」という意味で、現実世界に存在するモノや環境をそのまま仮想空間に再現します。

デジタルツインによって何が得られるのでしょうか。簡単に言ってしまえば「シミュレーション」が出来るということです。現実世界で新しいビジネスのシミュレーションを行うためには莫大な費用が必要で、様々な制限がかかるでしょう。しかし、仮想空間上であれば誰にも迷惑をかけないわけですので、自由にそして低予算でシミュレーションを行うことができます。

3Dデジタル地図「PLATEAU(プラトー)」

でも、そもそも現実世界と同じ仮想空間を作ること自体にお金がかかるのではないか、と考える人もいると思います。実は現在、国土交通省は3Dデジタル地図のプラットフォーム「PLATEAU(プラトー)」を提供しています。これは全国56都市の3Dデータを無料で公開しているもので、建物の用途や建設年など詳細な情報も付与されています。

ただし、この3D地図データを活用して、自社のシミュレーションを行うためにはそれ相応のシステム開発が必要で、現状この開発に投資できるのは大手企業だけだと言われています。今後の課題はこのようなシミュレーションが中小企業でも容易に活用できるプラットフォーム開発でしょう。

僕が住む京都市では建物の高さ制限緩和の動きがありますが、この3D地図データによる仮想空間を利用することで制限緩和後の街の雰囲気など再現できるようになるでしょう。今までのように専門家の意見に従うのではなく、アバターとして市民が街の雰囲気を体験することができれば、市民を説得しやすくなるのではないでしょうか。数値データも大切ですが、今後は「体験」が物事を決定する基準になりそうです。

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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