【BOOK REVIEW】望み(雫井脩介)

家族から犯罪者が出るか、もしくは被害者が出るか、自分ならどちらを選ぶだろうか。家族なんだから加害者であっても命が最も大切、命さえあればやり直すチャンスはいくらでもある。確かにそうなんだろうけど、家族から殺人犯が出てしまったら、今まで築いてきた自分のキャリアや人間関係を全て捨てることになります。その覚悟が持てるのか、と問われればきっと多くの人はすぐに答えが出せないでしょう。家族の命は大切、でも自分の人生はもっと大切だ、と思う人もいるかもしれません。家族のあり方や社会との接し方など、考えさせられるテーマでした。

ハイライト

見えている世界は狭く、世の中の仕組みは何もわからず、面識のない人間は意味もなく怖かった。覚えなければけないことばかりで、自分一人では何も生み出すことができない。半人前とよく言うが、少年時代は人間としてもまさに中途半端なのだ。

悲しみは事実が確定した時点をピークにして増殖が止まる。それ以上に厄介なのは不安だ。心の中に巣くって、気持ちを千千に乱れさせるものは、悲しみの事実がヴェールを見通せないときに生じる不安である。

幸せなんて感じなくたってね、本当に失ってはいけないものを守っていくのが大事なの。

正論であっても、それはしょせん、その人間の立場やアイデンティティに根差したものにすぎない。立場が違えば、使う理屈も変わってくる。筋が通っていたとしても、相手に響くとは限らないし、むしろ筋が遠ているからこそ受け入れてもらえないという目に遭ったりするわけだ。

不格好にでも、人に後ろ指を指されても、何とかして必死に守らなければならないのが自分の命であって、ほかのことはすべてそのあとの話だ。人の信頼も自分の尊厳も、何もかも失ったとしても、命さえ守ることができていたなら、あとはいくらでも取り返すことができる。今までのようにとはいかなくても、小さく生きれば、それなりの新しい出会いや生きがいが得られるはずなのだ。

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