2020年11月15日に締結が発表されたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)は市場に強いインパクトをもたらしました。RCEP参加国はASEAN10ヶ国と、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計15過去なのですが、何と言っても中国が参加したことが注目されました。中国への依存度が世界的に高まっている中で、同国がRCEPに参加したことにより、東アジア諸国は中国を中心とした関係強化が進むと思われます。
RCEP締結により日本にとって一番のメリットは、日本から中国・韓国に輸出する際の関税が引き下げられることでしょう。関税の撤廃時期は品目によって異なりますが、長期的な投資戦略に影響を与えそうです。ちなみに私が好きな日本酒の中国向けの関税(40%)も21年目には撤廃される見込みです。だいぶ先のことなのですが、中国市場に輸出しやすくなることで日本酒関連企業の成長が見込めそうです。
今回は特に中国向けの関税撤廃により恩恵を受ける分野をご紹介します。
対中輸出でRCEPの恩恵を受ける企業分野
品目横の数値は現在の関税率です。その横は関税が撤廃される時期です。
ガソリン車用のエンジン部品の一部(3%) | 即時 |
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その他エンジン部品(2〜8.4%) | 11年目または16年目 |
電気自動車用モーターの一部(10%、12%) | 16年目または21年目 |
農業用トラクター(6%) | 即時 |
オーブン、電子レンジ(15%) | 11年目 |
日本酒(40%) | 21年目 |
しょうゆ(12%) | 21年目 |
ほたて(10%) | 11年目または21年目 |
これを見ると日本酒の関税率が断トツで高いことが分かります。この関税により日本から輸出した日本酒は中国市場では約3倍の価格で販売されています。そのため現在は中国で日本酒が飲めるのは高所得者層が中心です。しかし、関税が撤廃されれば中間層にも受け入れられる可能性が高いため、国内の酒造メーカーにとっては大きなチャンスが生まれるのではないでしょうか。
一方で、日本が輸入する際の関税も撤廃されます。それが「衣類」「紹興酒・マッコリ」です。これらの業界は逆に価格競争が激しくなる可能性が高いと言えるでしょう。いずれにしても長期的にRCEPの動向を見守る必要があると感じます。