【BOOK REVIEW】死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発

現在、ネット配信されている「Fukushima50」という作品はご存知でしょうか。これは東日本大震災による福島第一原発事故を扱った作品で、事故当時に原発内で事故対応を行っていた東電作業員たちの奮闘を描いたノンフィクション作品です。この映画の原作はノンフィクション作家として有名な門田隆将氏の「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」です。この本は今現在でもAmazonのkindle unlimitedで読むことができます。

この本をkindleのライブラリーに登録したのが昨年末で、「Fukushima50」という作品の内容を知ったのがつい先日だったので、偶然性を感じながらこの本を読んでみました。事故当時の世論は、原発反対と原発推進という単純なイデオロギー議論に終始していて、この事故の本質を掴めていなかったと感じています。僕たちが見るべきものは、テレビや新聞で安全な場所から好き勝手に論じる批評家の話ではなく、事故があった現場で作業していた人たちの声だと感じました。

当時は彼ら東電社員に対しても厳しい批判の声があがりましたが、責めるべきは東電の体質であって、現場の社員を責めてはいけなかった。事故が起こり真っ先に死を意識するのは現場の彼らです。そして、彼らの多くは福島で生まれ育ち、家族も原発の周辺に住んでいました。彼らが自分が生まれ育った土地や家族に影響が及ばないように、死を意識しながら不眠不休で事故に対処した姿はこの本を読むまで知ることができませんでした。

登場するのは東電社員だけではありません。原発には協力会社の社員もたくさん働いています。さらに危険な現場に躊躇せず駆けつけた自衛隊員たち。彼ら現場にいた人たちがいたからこそ、今の日本があるということを意識する良い機会でした。映画も良いのですが、ぜひ原作を読むことをおすすめします。非常に緻密な取材に基づいた作品であるためリアリティが素晴らしく、没入感がハンパないです。

ハイライト

極限の場面では、人間は、強さと弱さを両方、曝け出す。日頃は目立たない人が土壇場で驚くような力を発揮したり、逆に普段は立派なことを口にする人間が、いざという時に情けない姿を露呈したりする。ぎりぎりの場面では、人間とは、もともと持ったその人の、素の姿が剥き出しになるものである

原子炉を安全に制御するためには、まず第一段階に「原子炉の停止」があり、第二段階に「冷却」がある。そして、第三段階に「閉じ込める」という過程が必要だ。すなわち「停める」「冷やす」「閉じ込める」という三つの過程を経て、初めて原子炉は制御されるのである

吉田や現場の人間が闘ったのは、会社のためでも、自分のためでもない。世の中で一番、大切なものを「守るため」ではなかっただろうか

最悪の事態とは「チェルノブイリ事故×10」だった

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