ニトリのDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略

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ニトリホールディングスはDX(デジタルトランスフォーメーション)による変革を急いでいます。その肝になるのがブロックチェーン(分散型台帳)技術です。このブロックチェーンを使用した新システムを稼働させ、2030年までに外部受託を数百億円事業に育てる計画です。ニトリと聞けば、誰もが家具販売をイメージすると思いますが、おそらく家具販売事業は近い将来頭打ちになると想像できます。それを補い、企業を成長させるには、それに代わる事業が必要です。ニトリにとっては、それが「物流」です。これはアマゾンと同じ戦略です。小売だけでなく、物流のプラットフォーマーへと変わろうとしています。

この変革を主導するのがニトリホールディングス傘下の物流事業会社「ホームロジスティクス」です。約150の中小運送会社と委託契約して、商品の宅配や全国約550店舗への搬入を担っています。同社は、2020年秋にも人工知能による配送ルート策定や在庫管理の高度化など、約500の機能をブロックチェーンを利用して開発しています。

ニトリホールディングスの4つのDX施策

それでは簡潔にニトリホールディングスのDX施策をご紹介します。

  1. ブロックチェーンを使い物流に関わる情報を電子化
  2. AIによる配送ルートの最適化などシステム基盤の構築
  3. 独自の自動倉庫システムなどのノウハウを横展開
  4. 物流受託とデジタル化の支援で2030年を目処に数百億円稼ぐ

EC事業そのものは参入障壁が低いため、企業規模問わず多くの企業が今後も参入すると思われますが、重要なのは販売後の物流を担う事業者が増えていないということです。逆に言えば物流こそ参入余地があり、成功すればそれなりのシェアを獲得できる分野だと言えます。しかし、物流に参入するにはそれなりの資本が必要です。アマゾンが独自の配送事業を展開しているのもECで稼いだ資本があるからです。今後、国内ではヤマトや佐川など物流を本業とする企業と、そうでない企業の物流事業の競争が促されるようになるでしょう。これは結果的に配送費用の低下などEC事業者にとってはプラスの効果をもたらすのではないかと考えます。

最近ではタクシー配車のDiDiやUberもモノを運ぶ事業に参入しています。ECと聞くと多くの人はネットでモノを売ることだけを考えますが、今後のEC戦略においては販売だけでなはく「配送」まで含めた一貫した戦略が必要なるのではないでしょうか。

伊藤泰行

京都市在住。 日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA(2018年度合格/No.2153)、SAKE検定認定講師。(社)日本ソムリエ協会正会員(No.29546)。大学卒業後は(株)マイナビに入社し約10年間、顧客企業の新卒・中途採用領域における採用ブランディング、クリエイティブディレクションを経験しました。いつまでもお酒が楽しめるように、毎年1回のフルマラソン完走を目標として健康な体づくりに励んでいます。

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