中小企業のテレワークを考える〜人の評価から業務の評価へ〜

テレワークを導入し軌道に乗せるには、経営者の役割が非常に重要だと書きましたが、それは経営者だけでなくマネジャー層の意識改革も必要です。業務を創り出し、可視化する人がプロジェクトのマネジャーであり、その業務を遂行する人がワーカーです。マネジャーが果たさなければならない役割は、業務を遂行するために可視化し定型化できる業務(ワーカーに伝達できる業務)と、そうでない業務を切り分け、定型化できる業務については業務記述を行う必要があります。

ここで出てくる「業務記述」とは何なのでしょうか。これはホワイトカラーエグゼンプションを導入している米国では当たり前になっていますが、上司から部下に対して仕事を発注する場合に、その内容を文章で明示化することで業務記述書と呼ばれます。日本のホワイトカラーの業務現場ではこの業務記述書はほとんど見られず、いまだに口頭での業務指示を行っています。

業務記述書を導入することで、従来「人」を評価していた方式ではなく、テレワークに適した「業務」を評価する方式に切り替えやすくなります。業務記述が明示されることで業務の単位化が起こります。そのことによりワーカーの成果評価が明確になると同時に、業務の品質管理が容易になります。さらに単位化された業務の流動化(業務の市場化)が起こります。これによりワーカーはスキルや都合によって業務を選好するようになり、マネジャーはワーカーから選好されやすい業務記述を行う必要が出てきます。つまり、評価基準が明確な業務記述を作成できるマネジャーほど、優秀なワーカーを有利な条件で集めることができます。

業務記述書に記載すること

では、業務記述書には何を記載すればよいのでしょうか。基本的な構成は次の4つです。

  1. 職種(Position Description)
  2. 仕事の目的(Job Purpose)
  3. 業務範囲や業務内容(Job Duties、Scope of Work 等)
  4. 必要なスキル、資格、技能(Skill/Qualification)

見ていただければわかりますが、人材採用する時の求人票の記載内容と似ていませんか。求人する時の募集要項と同じように、ワーカーに対しても依頼したい業務内容を明確にすることが必要です。この業務記述をトレーニングするために、クラウドソーシングの利用をおすすめします。このサービスを利用して優秀なワーカーに業務を依頼するには、的確で分かりやすい業務記述が必要だからです。評価の高い発注者の依頼内容を見ても参考になると思います。

業務記述の良い点をご紹介しましたが、これのデメリットもあります。業務範囲を明確化することで仕事を受けた側は「その範囲内のことだけやればよい」という思考に陥る可能性があります。従来、優秀な人材は上司の言ったことだけでなく、何か付加価値を付けて業務を進めていたのですが、このような人材が少なくなるかもしれません。つまり、何か新しいものを生み出すようなクリエイティビティが求められる業務に対しては業務記述は適しておらず、従来どおり柔軟性を持たせた依頼方法が適しているでしょう。

まずは社内ではなく、社外に業務を外注する場合に業務記述書を使ってみてはいかがでしょうか。

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