ウェブ制作会社が自社サービスを生み出せない理由

世の中には非常に多くのウェブ制作会社やシステム開発会社がありますが、その多くが他の企業からの発注によって成り立っています。業界用語で言えば業務請負というビジネスです。私はこの業務請負の業界に入り今年で7年になります。当社を立ち上げる前は京都のウェブ制作会社に2年間勤めていました。その前はマイナビという企業で10年間勤め、「マイナビ」という自社サービスを展開するビジネスに従事していました。

正直に言えば、最初マイナビからウェブ制作会社に転職した際は多くの違和感を感じました。そして、多くのウェブ制作会社やシステム開発会社が「いつかは自社サービスを展開したい」と謳っているのに、一向にそれを実現できない理由も分かりました。制作会社も開発会社も自社で何か生み出したいという気持ちはあります(多くの場合、経営者だけですが)。しかし、それを実現できない。その原因は一体どこにあるのか。

私は次の3つの原因があると考えています。

業務請負会社が自社サービスを生み出せない3つの理由
① 人材がいない

何か新しいサービスを生み出すためには、「作る」能力だけでは足りません。「作る」前に「創る」ことが必要です。自社サービスを展開する企業にはこの「創る」能力を持った人材が数多く存在しますが、制作会社は「創る」能力を持った人材が圧倒的に不足しています。人から依頼された案件を形にするスキルは持っているのですが、ゼロから何かを生み出す能力や経験がありません。自社サービスを展開する企業はメーカーと同じように、研究開発や商品開発、マーケティング、営業、広告などの機能が不可欠です。

なぜ制作会社には「創る」人材が不在なのか。それは経営者に責任があります。「作る」ことが好きな人材しか採用していないからです。「作る」人材と「創る」人材の資質は全く異なります。これを理解しないまま、後になって「作る」人材に「創る」人材になれと言ってもそれは無理な話。彼らは作ることが好きなのであって、自分で何かを生み出したいとは考えていません。だから、自社サービスを展開したいのであれば、最初から「創る」人材を採用しなければいけません。

② スピード感が足りない

これも人材に関係することですが、業務請負は発注側に依存するビジネスですので、自社で受発注をコントロールできる範囲が限られています。一方、自社サービスはメーカーですので自ら市場を創る出すことが必要で、他人に依存しているようではビジネスは成立しません。

語弊を承知で簡単に言ってしまえば業務請負は「受動的」であり、自社サービスは「能動的」であることが求められます。人材に関しても、業務請負の人材は受け身で指示待ち傾向が強いのですが、自社サービスの人材は自律型が多いと感じます。この違いはビジネスを展開する上でのスピードにそのまま影響します。

誰かに指示されないと動けない人材グループと、自分で課題を見つけ主体的に行動できるグループではどちらが速いスピードでビジネスを動かせるか。これは誰が見ても明らかでしょう。自社サービスを展開し成功するためにはスピードは絶対に欠かせない要素です。業務請負から自社サービスを生み出すには、スピード感を持って業務が行える自律型人材を増やすことが必要です。

③ 世の中の変化に疎い

これは私の偏見かもしれませんが、業務請負の企業に務める人材は新聞を読んでいない場合が多いと感じます。もちろんYahooニュースなどトピックをまとめたウェブサイトを閲覧している人はいます。しかし、それだけでは物事の本質を捉えることはできず表面的な情報しか得ることができません。一方、自社サービスを展開する企業に務める人材は新聞はもちろん、様々な手段を使って世の中の情報を集めようとします。そうしなければビジネスに影響するからです。

自社サービスを展開するということは、世の中(市場)とガチで向き合うということです。ガチで向き合わないと世の中に受け入れられるサービスは生み出せません。業務請負の企業が自社サービスを展開するには、経営者だけでなく社員が世の中を意識することが不可欠です。業務に直結する勉強会や研修だけでなく、そういった意識変革を進めるための取り組みも必要です。

以上、3点が私の考える業務請負型企業と自社サービス展開企業の違いです。一時期花形職業であったウェブ制作会社やシステム開発会社も、今では不人気業界となり優秀な人材は自社サービス展開企業に流れています。本来「作る」ことが得意な業務請負のエンジニアよりも、自社サービスを「創る」ために存在するエンジニアの方が学歴も高く、機械学習やブロックチェーン、データサイエンスなど高度な技術・知識を持っているのが実情です。作ること自体の価値が薄れていく世の中で、これからウェブ制作会社やシステム開発会社は何をすべきなのか。これらの経営者は真剣に考える時期に入ったと思われます。

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