国内のデータ産業が抱える課題と今後の施策

ビジネスパーソンだけでなく一般の人でさえ「クラウド」という言葉を使用する機会が増えています。現在、日常で利用しているインターネットサービスの多くはクラウドの技術によって支えられています。今後もIoTの進展とともにクラウドの重要性は高まり、クラウドなどデータ産業に関わる企業は成長すると見込まれています。しかし、この分野の国内企業と海外企業を比較した場合、むしろ国内企業は厳しい状況に置かれていることを認識する必要があります。今回は平成30年3月に経済産業省がリリースした『平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(我が国のデータ産業を巡る事業環境等に関する調査研究)』を元に国内のデータ産業の現状と課題をご紹介します。

国内データセンターの喫緊の課題は老朽化対応

データ産業は大きく2つに分けることができます。ひとつは「データセンター」、もうひとつは「クラウドインフラ」です。データセンターとは物理的なサーバ等を保管する場所のこと。簡単に言えば不動産です。データセンターにはセキュリティや耐震性、安定した電力供給などが求められます。今後IoTなどのデータ活用の進展によりデータセンターの重要性は高まっていくことが予想されています。

現在の国内データセンターの状況を見ると、国内のデータセンター需要に対する国内企業のシェアは98%となっています。つまり、国内企業は国内のデータセンターを使いたがる傾向が強いということが分かります。これだけのシェアがあるため今後のデータセンター運営も安泰だと思われますが、いくつか課題も抱えています。

まずひとつが国内データセンターの多くが老朽化しています。建設後20年を経過したデータセンターは40%以上もあるのだとか。老朽化すれば何かと不具合が生じるのですが、如何せん対策にはお金がかかります。したがって、現在老朽化しているデータセンターが改築するなど何らかの対策を行なう見込みは低いようです。

ふたつ目の課題は電力コストの内外格差が大きいこと。データセンターは大量・高速処理に対応するため必要とする電力が大きいのですが国内の電力は海外と比較すると高いのです。つまり電力コストにおいて国内データセンターの競争力は低くなっています。そのため、今後新たにデータセンターを建設する場合は、国内ではなく海外(特に米国)を選ぶ企業が増えていくでしょう。実際、仮想通貨のマイニング事業を行なう企業は最初から中国を拠点にしているようです。

クラウドインフラは今後さらに海外サービスのシェアが拡大

クラウドインフラ(特にパブリッククラウド)の代表的なサービスはAmazonの「AWS」でしょう。現在、国内におけるパブリッククラウド市場のシェアは、海外サービスが約50%を占めています。そして2030年には約62%まで増えると見込まれています。なぜ国内のパブリッククラウドではなく海外のパブリッククラウドの方が優位なのでしょうか。

理由は2つあります。ひとつは売上高に対する研究開発費比率の違いです。海外の企業は10%以上を研究開発費に充てているのですが国内の企業は5%未満です。研究開発費が少なければ画期的なサービスは生まれません。質的に魅力がないサービスは誰も使いたいとは思いませんよね。また、ふたつ目の理由にもなるのですが、研究開発にお金を割けないということは優秀な人材を採用することができない、ということでもあります。結局のところ優良なサービスは優秀な人材が生み出すわけですので人材の確保が最も重要なのです。ただし、優秀な人材は世界中で奪い合いになっていますので採用するには相当の報酬が必要です。研究開発費が少ないということはその報酬の源泉が少ないわけですので、人材獲得競争で優位に立つことは難しいでしょう。

世界に通用する付加価値を

データセンターとクラウドインフラに関する国内企業の課題をご紹介しました。両方に共通している課題は「海外との競争」です。そもそもデータ流通に関しては国境は関係ありませんので、特に日本国内でなければいけない、という理由がありません。もちろんデータセンターであれば海外のデータセンターを利用することでデータ処理のリアルタイム性が低下するなど課題があり国内データセンターが優位に立つこともあるでしょう。また国内で開発されたクラウドインフラの方が日本人には使いやすいという面もあるでしょう。しかし、このような技術的な課題は今後確実に解決されていきますので、今の売上を維持することはなかなか難しいのではないでしょうか。

結局の所、人も金も付加価値の高い方へ流れていきますので、国内のデータ産業を活性化するには付加価値を高めるしかないと思いました。詳細は経済産業省のウェブサイトから御覧ください。

 経済産業省『平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(我が国のデータ産業を巡る事業環境等に関する調査研究)』

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