美味しい日本酒が普段から気軽に飲める環境が整いつつある中、日本酒に関する知識を深めようと日本酒関連資格を受験する人が増えているようです。日本で受験できる日本酒関連資格で有名なのは2つあります。ひとつは1990年から始めているNPO法人FBOが運営する利酒師という資格。もうひとつは最近出来た一般社団法人日本ソムリエ協会が運営するSAKE DIPLOMAです。利酒師は比較的取得しやすく受験者の70%前後が合格するようです。一方SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)は真剣に勉強しないと合格するのは難しく合格率35%以下と言われています。もし初めて日本酒関連の資格を取得したいのであれば、まずは利酒師を受験することをオススメします。勉強する内容は両者ともにそれほど変わらないと思います。また、酒ディプロマよりも利酒師の方が知名度が高いため、周囲に自慢しやすいと思いますよ。今回はこの利酒師に関してご紹介しようと思います。
利酒師で身に付ける3つの力
利酒師の資格取得の過程で身に付ける力は次の3つです。
① 日本酒と日本酒を取り巻く基礎知識力
日本酒に関する情報を相手に伝えようとしても中途半端な知識では説得力がありません。説得力を持つためには基礎的な知識が必要です。利酒師を取得する上でこの基礎知識力は最も重要です。
② 日本酒のテイスティング力
日本酒は知識だけあってもマニアの域を出ることができません。重要なのは飲み物として、どのような特徴があるのか理解し、相手に対して言葉でその魅力を伝える力です。
③ 日本酒のサービス力
どんなに素晴らしい日本酒でも、美味しく飲む方法を知らなければ楽しめません。利酒師は日本酒そのものの知識だけでなく、それを美味しく飲むための方法まで身に付けることができます。
利酒師を取得するために勉強すること
利酒師を取得するためには実に幅広いことを学習する必要があります。日本酒は製造技術によって味わいが大きく変わるため、製造に関する勉強が必須です。専門用語も多いので、それなりに覚悟して臨まないと心が折れるかもしれません。利酒師の公式テキストは2つあります。ひとつは「もてなしの基」。もうひとつは「日本酒の基」。ここではそれぞれのコンテンツをご紹介します。
① もてなしの基
- 真のプロフェッショナルが持つべき7つの能力や知識・技能
- 食品・飲料の語源
- 各商品の効果的な分類方法と商品特性
- 発酵/食品・飲料の保存管理
- 食品・飲料の歴史
- 世界各国の食文化
- 接客サービスと日本文化
- テイスティング
- 飲食、サービス業の価値を高めるために
- セールスプロモーションの基本
② 日本酒の基
- 日本文化の基本「米」、「水」について
- 精米・麹・酒母・もろみ・搾りから瓶詰めまで
- 特定名称酒から日本酒独自の表記法まで
- 2000年に及ぶ日本酒の歴史の深さ
- タイプ分類、提供方法を中心としたテイスティング法
- たった1杯の日本酒を注ぐにも心を込める
- ケーススタディに学ぶプロモーション例
資格取得方法
利酒師の資格を取得するための方法は大きく2つに分けられます。ひとつは「受験コース」。もうひとつは「通信コース」です。受験コースはその名の通り試験を受け、合格して資格を取得する方法です。通信コースは受験する必要はありませんが、3ヶ月間かけて通信講座で勉強し都度添削課題を受けることが必要です。出来るだけ短時間で合格したい場合は受験コースを、時間をかけてじっくり勉強したり、地方に住んでいる場合は通信コースがオススメです。
① 受験コース
受験コースはさらに4つの取得方法に分かれます。
- 在宅受講・受験コース:自宅で勉強し受験する方法
- 会場受講・受験コース:会場で講師から1日かけて講習を受け受験する方法
- 通学受講・受験コース:会場で講師から4日間に分けて講習を受け受験する方法
- 2日間集中受講・受験コース:2日間で講習と試験を終わらせる最短コース
② 通信コース
受講・受験料金
初めて利酒師の資格取得に挑戦する場合、どのくらいの費用が必要なのかご紹介します。受講コースによって費用が異なるので自分の財布とも相談しながら決めましょう。また利酒師資格は受験し合格するだけでは利酒師の呼称を使うことができません。この資格を運営するFBOに入会することで初めて利酒師と名乗れます。つまり、利酒師になるためには受講・受験費用+FBO入会のための諸費用+次年度以降の更新費が必要になることを覚えておきましょう。
在宅受講・受験コース | 57,800円 |
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会場受講・受験コース | 57,800円 |
通学受講・受験コース | 62,800円 |
2日間集中受講・受験コース | 138,100円 |
通信コース | 77,400円 |
利酒師の場合、合格後の諸費用が結構高いので忘れずに把握しておきましょう。下記の金額を見ればわかりますが、総額10万円以下で利酒師資格を取得することはできません。趣味で取得するには少々高い金額です。また仕事で使う場合には10万円以上の付加価値をもたらすものなのか自身でよく考え判断しましょう。
合格後の諸費用(全コース共通)
- 認定料 25,000円
- 入会金 19,000円
- 初年度年会費 15,900円
- 計 59,900円
利酒師取得後
今までの情報を見ていただければわかると思いますが、正直相応の費用さえ負担すれば高い確率で取得できる資格です。確実に日本酒関連資格が欲しい場合は利酒師は最適な資格だと思います。ちなみに利酒師に合格後、もっとステップアップしたい人のためにFBOはより高度な認定資格を用意しています。
- 酒匠:テイスティング専門家
- 日本酒学講師:日本酒・焼酎の魅力を伝えるインストラクター
- 国際利酒師:海外の消費者に日本酒の魅力を伝える人材
利酒師資格をベースにして、日本酒ビジネスを展開していきたい場合は上記3つの資格を目指すのもアリですね。以上、利酒師資格に関する情報をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。もっと詳しい情報を知りたい場合はFBOのウェブサイトで確認しましょう。