2020年施行予定の民法改正でどんな影響が出る?

2015年3月に法務省は通常国会に民法改正案を提出、2017年5月に国会で可決成立し公布されました。そして3年後の2020年に施行が予定されています。この民法改正は120年来の本格改正と言われていて、私たちのビジネスにも影響を与えます。今回はこの民法改正が私たちにどのような影響を与えるのかご紹介します。

飲み屋でのツケの時効が1年から5年に

時効という言葉を聞いたことがあると思います。時効には「消滅時効」と「取得時効」の2つがあります。消滅時効とは時の経過によって権利が消滅してしまうもの。例えば経営者が祇園の飲み屋をツケで楽しんでいた場合、1年以内に飲み屋が権利(ツケを支払ってもらう)を行使しないと時効が成立し、経営者はそのツケを支払う必要がなくなります(諸条件はありますが)。それ以外にも民事の一般債権の場合は10年、ビジネス上の債権は5年と決められています。今まではこのように時効期間がバラバラだったのですが、今回の民法改正でこの時効期間が5年に統一されます。つまり、今回の民法改正で飲み屋のツケも他の債権と同様に5年の消滅時効期間になります。僕の周りにはいないと思いますが、2020年以降、ツケを踏み倒すことは難しくなりますので気をつけましょう。

賃貸契約書など連帯保証人の責任限度額の書面記載が義務に

不動産賃貸など継続的な商品売買の際、契約書に連帯保証人を置くことがあります。恐らくこの文章を読んでいる多くの人が親など身内の人に連帯保証人になって欲しいと依頼した経験があると思います。このような将来発生するであろう不特定の債務をまとめて連帯保証することを「根保証契約」と呼び、その中で個人が保証人になる場合は「個人根保証契約」と言います。この何が問題なのかというと、連帯保証人は保証人になる際、将来どのくらいの責任を追うことになるのか分からない、ということなんです。それって連帯保証人になる人は相当不安になりますよね。しかし、今回の民法改正で契約書で連帯保証人が責任を負う限度額(極度額)を定めることが義務付けされました。今後の契約の際には「極度額◯◯万円の範囲内で」など極度額を書面上に記載しなければ、保証契約が無効になります。2020年以降、もし自分が誰かの連帯保証人になることがある場合は、必ず契約書に上記のような記載があるかどうか確認しましょう。

事業のために連帯保証人になる場合は公正証書が必要に

個人の賃貸借契約の連帯保証人であれば債務額はそれほど多くありませんが、例えば会社が銀行から借り入れを行う場合、金額は数千万円〜数億円という単位になります。このような事業の借り入れの場合、会社経営者だけでなくその身内(例えば妻)も連帯保証人になることが求められるのですが、身内だからといって安易に連帯保証人になってしまうケースがありました。そこで今回の民法改正では、契約の日前一ヶ月以内に作成された公正証書で保証人になる個人が保証債務を履行する意思を表示しないと、その契約は無効になることになりました。ただしこれは事業のために負担した場合に限ります。ちなみに公正証書とは法務大臣が任命した公証人(法律の専門家)が作成したもので、取得するには非常に面倒な手続が必要です。この面倒な手続をわざと行わせることで、連帯保証人になるべきかどうか冷静に考える機会を与えることが改正の目的のようです。

知り合いの経営者に保証人になってもらうには詳細情報の提供が義務に

例えば当社の社長が金融機関から借り入れをする場合、経営者友達のMさんに保証人になってくれるように依頼するとします。この場合、Mさんは当社の社長に対して財務状況などの情報を求めます。返せない会社の保証人なんて誰もなりたくないですし。この当たり前のような情報提供が今回の民法改正で義務になりました。具体的にどのような情報を提供する必要があるのかは民法改正の記事を読んで下さい。重要なことは当社の社長がMさんに提供する情報を良く見せようと事実と異なる内容を提供し、それによってMさんが保証人になってしまった場合、保証人になったMさんは保証契約を取り消すことができます。何だか当たり前のような気がしますが、今までこんな当たり前のようなことが義務化されていなかったんですね。

また、契約時に正しい情報を提供され保証人になったMさんですが、その後、当社の経営状態が芳しくないと判断した場合、Mさんは当社に対して情報提供を請求し、それに対して当社は債務の履行状況に関する情報提供義務を負うことになります。これも当たり前のように感じますが。。今回の民法改正では保証人の保護に関する法律が増えていますね。

その他、定型約款に関する改正などありますので、新聞などで民法改正の記事が掲載された場合は目を通しておいた方がよいと思われます。

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