日本と米国のエンジニアの働き方

10月3日付の日本経済新聞に日米エンジニアの働き方の違いに関する経済学コラムが掲載されていたのですが、とても納得する内容だったのでご紹介します。皆さんが普段仕事やプライベートで使用するIT関連のソフトウエアを思い出してみてください。Amazon、Facebook、Instagram、Mac、Microsoftなど、恐らくほとんどのソフトウエアが米国発のものだと思われます。一方で日本初のもので世界的に使用されているものって思い出せますか?日本にもソフトウエアを開発するエンジニア(SE:ソフトウエアエンジニア)は存在するのに、なぜか彼らの作ったものは世界に飛び立たない。一体、日本のエンジニアと米国のエンジニアにどのような違いがあるのでしょうか。

若手経営者のような米国SEと、作業員としての日本のSE

この経済学コラムを著した方は米国カリフォルニア大学で博士号を取得したので、カリフォルニアの事情には詳しいと思われます。そんな彼が米国のSEの働き方をこのように書いています。

彼らは自宅から自転車の乗って思い思いの時間に出勤し、昼食時にはカフェテリアに集まり、同僚や社外の友人とランチをとりながら情報交換します。服装はカジュアルですが、よく見ると高価なデザイナージーンズの愛用者も多い。仕事に疲れたらバレーボールやテニスで汗を流し、シャワーでさっぱりして仕事に戻る。まるでオーナー企業の若手経営者のようなライフスタイルです。

一方、日本のSEの働き方はこのように書いています。

彼らの多くは大手企業の社内SEとして、また一次、二次下請けの中小ソフトウエアの技術者として働いています。大半はフレックス制度の対象ですが、朝9時までには都心のオフィスに長時間かけて出勤します。定時の短い昼食休憩のあと、午後の仕事に戻り、月平均35時間の残業をこなし、再び長時間の通勤電車に揺られて帰宅します。多くのSEは仕事の進め方に裁量を持つ働きとは無縁です。

正反対の働き方のように見えます。米国のSEは主体的に働き、多くの裁量を持ち、付加価値の高いアウトプットを出す仕事をします。一方、日本のSEは受動的に働き、少ない裁量で決められた範囲内のアウトプットしか生み出しません。さて、世の中に影響を与えるクリエイティブなソフトウエアはどちらの働き方の方が生み出しやすいのでしょうか。

私も就職情報会社に勤務していた時、仕事柄多くのソフトウエア企業に取材し社内の雰囲気や働き方を見てきたのですが、日本のSEはあくまでも従業員で、言われたこと(依頼された仕事)以外は行いません。上が決めた設計とスケジュールに則って、黙々と1日中パソコンと向き合う会社生活を送り続けます。つまり、彼らは経営視点はほとんど持っていません。一方、米国のSEは従業員というよりも経営者に近い視点で仕事をしているように思えます。

毎日コツコツ真面目に働いても年収は低い

この記事には米国と日本のSEの年収・残業時間・裁量度の比較が載っています。簡単にまとめると、

  • 平均年収は日本が651万円、米国が983万円
  • 月残業時間は日本が34.7時間、米国が2.9時間
  • 裁量度(3点満点)は日本が1.61、米国が2.26

となっています。これを見ると日本のSEは米国のSEより10倍以上残業しているのに年収は米国のSEの方が上で、さらに自分の裁量で働くことができない職場環境に身を置いているとわかります。こんなデータを見てしまうと、日本でSEするのがアホらしく思えてきますが、恐らく今の日本のSEの働き方はそう簡単には変わらないでしょう。「さあ、明日から米国のように君たちに大きな裁量を与えるから、自分で働き方を選んで自分で仕事を創造してアウトプットを出してくれ」と言われて、それに応えられる日本のSEはどれくらいいるでしょうか。ほとんどいないでしょう。

ただ日本もそんなに悲観することはないと思います。最近はAIやビッグデータ関連の企業で非常に優秀なエンジニアが世界と勝負できるソフトウエアを開発しています。彼らの多くは大学院で博士号を取得し、本来であれば大企業にそれなりに優遇され入社できる立場にあるのに、敢えて自分で起業しクリエイティブなビジネスを展開しています。こういうエンジニアが増えていけば、これからの日本のSEも刺激を受けるはずです。

もちろん、世の中には設計書通りにプログラミングするエンジニアも必要です。彼らの働きがあるからこそ生まれているソフトウエアもいっぱいあります。しかし、これからは経営感覚を持って、より上流で勝負できるSEが求められるでしょう。今後はエンジニアも二極化し、恐らく従来のSEは今まで以上に年収が下がり裁量も削られると思われます。今は売り手市場のエンジニアですが、今後は厳しい競争が待っていそうです。

(外部リンク)日本経済新聞社

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